教育学生セミナー
2023年度 文理融合AI・データサイエンスセンター/ ジェンダード・イノベーション研究所 共同セミナー
データサイエンス × ジェンダード・イノベーション “採用” に潜むジェンダーバイアスを発見しよう!
SDGs の目標の1 つであるジェンダー平等の実現は世界中で取り組まれていますが、日本のジェンダーギャップ指数は146 カ国中125 位(2023 年)と低く、日本におけるジェンダーバイアスの解消は重要な課題になっています。
本セミナーでは採用の選考過程を例に、データサイエンスの知識とR の技術を用いて、データに潜むジェンダーバイアスの発見を体験できる内容になっています。性差の視点を考慮した「ジェンダード・イノベーション」を考えるきっかけになればと思います。
開催概要
対象 | 学部生・大学院生 |
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日時 | ※毎週月曜日9・10 限(16時40分-18時10分) |
場所 | 本館127室 |
講師 | 伊藤 貴之(文理融合AI・データサイエンスセンター) 佐々木 成江(ジェンダード・イノベーション研究所) |
担当教員 | 矢野 緑里(文理融合AI・データサイエンスセンター) 高丸 理香(ジェンダード・イノベーション研究所) 相川 頌子(ジェンダード・イノベーション研究所) |
主催・問合先 | 文理融合AI・データサイエンスセンター(矢野) (問合先)E-mail:ocha-igi@cc.ocha.ac.jp |
プログラム
- 1日目 分析の基礎知識の説明
授業の概要・目標
ジェンダード・イノベーションとは?
データサイエンスの基本的考え方
R とは? - 2日目 R を用いたデータ分析
データ分析に必要な判別分析の説明
Rによる判別分析と可視化方法の紹介
架空の採用データをRで分析(グループワーク) - 3日目 分析結果の発表
発表の準備
分析結果の発表
ディスカッション
講評
開催報告
- 1日目
SDGs の目標の1 つであるジェンダー平等の実現は世界中で取り組まれているが、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位(2023 年)と低く、日本におけるジェンダーバイアスの解消は重要な課題になっている。
本セミナーでは人事採用の選考過程を例に、データサイエンスの知識と統計分析ソフトR を用いて、データに潜むジェンダーバイアスの発見を体験し、性差の視点を考慮したジェンダード・イノベーションについて検討することを目的とした。
1日目は、佐々木成江特任教授よりジェンダード・イノベーションについて、伊藤貴之教授よりデータサイエンスについての基礎知識を学んだ。そして、矢野緑里特任AFより統計分析ソフトRの概要と、参加者のノートPCにRをインストールする方法について説明された。 - 2日目
2日目以降は、矢野緑里特任AF が講師を担当した。2日目は、架空の採用データを用いて、採用基準のジェンダーバイアス(性差)をRで可視化させながら分析するグループワークを実施した。セミナー参加者が企業の人事採用担当者になったという設定で、どのように選考指標や審査方法を組み合わせれば、その企業にとっての理想的な人材を採用できるのかを検討した。グループワークで複数の選考指標と審査方法の組み合わせをRで検証し、男女のバランスなど各グループが考えたよりよい選考基準のパターンとそうでないパターンを導き出すという課題が出題された。 - 3日目
3日目は、前週に実施した採用基準のジェンダーバイアス(性差)についてのグループワークの分析結果の発表会を行った。各班からの発表内容を踏まえ、さらに考察を深めるために第二の課題が出題された。第二課題では、第一課題と同様にセミナー参加者は企業の人事採用担当者という設定で、選考辞退者の中には優秀な人財がいたかもしれず、その選考辞退者にどのくらいの採用の可能性があったのかを、応募者の学生時代の成績などの変数を組み合わせた線形判別分析を行った。参加学生は色々な変数の組み合わせを分析ツールRで分析し、男性データと女性データの線形判別結果を比較し、どのような変数にジェンダーバイアスが潜んでいるのかを調べる個人ワークを実施した。
最後は伊藤貴之教授より講評がなされ、皆勤の参加者に修了証が交付された。 - 参加者のコメント
※誤字脱字等、修正せずにそのまま掲載しております。ご了承ください。- とても楽しかったです! Rでアプリを作って、GUIで操作できるのがデータ分析への障壁を下げていたと思います。2日目参加したかった、、!泣泣
- AIやデータを活用していくにあたって、データ自体や活用方法に性差がないかを検討することは、現在までのジェンダーバイアスを払拭するために必要不可欠だと思いました。 データの活用を中心に扱う授業だったので、今後はRやRstudioを使用しながら、ジェンダーバイアスやジェンダード・イノベーションについて深い議論をするようなセミナー・授業にも参加してみたいです。
- 「AIを使うことでバイアスが生じる可能性がある」ということはニュース等で目にしたことはあったのですが、実際にアプリを体験してみることで、どのようなメカニズムで生じてしまうのかをより深く理解することができました。
- データ分析とジェンダーバイアス、どちらもかじる程度でしか知見がなかったので興味深く学ぶことができました。
- あまりにも初心者なので、何をしているのかがわからないまま作業をしてしまったので、これからもう一度じっくり振り返って、データを見るということがどういうことなのかを考えてみたいと思います。
- R Studioを始めて触れて勉強になりました。
- Rでこのようなアプリを作ることができ、さらにそれがジェンダーバイアスを炙り出すことができることを興味深く思いました。ただ、自分で活用できるかと考えると厳しいのではとも思いました。
- とても楽しかったです!
- サポート体制が厚く困ったことがあればすぐに聞くことができました。
報告担当:山本 咲子(特任リサーチフェロー)
【参加者数】1日目:22名、2日目:20名、3日目:16名