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大阪・関西万博 ウーマンズパビリオン「WA」スペースイベント「知れば知るほど納得!ジェンダード・イノベーション」(2025年8月4日)

大阪・関西万博 ウーマンズパビリオン「WA」スペースイベント「知れば知るほど納得!ジェンダード・イノベーション」

ジェンダード・イノベ―ション研究所は、大阪・関西万博のウーマンズパビリオン「WA」スペースにおいて、ジェンダード・イノベーションについて知っていただくイベントを開催します。プログラムは、講演、パネルディスカッション、お茶大生によるプレゼンテーション、交差性デザインカードの紹介の4部構成です。「平和と人権ウィーク」中のイベントとして、あらゆる人々が尊重される社会について考えます。

万博ウェブサイト掲載のイベント情報はこちら

開催概要

日時

2025年8月4日(月曜日)
12時00分~14時00分(開場11時30分)

会場

大阪・関西万博 
ウーマンズパビリオン「WA」スペース

プログラム

  1. 講演
    石井クンツ昌子(IGI所長/理事・副学長)
  2. パネルディスカッション
    斎藤悦子(IGI副所長/教授)
    伊藤貴之(IGI研究員/教授)
    藤山真美子(IGI研究員/准教授)
  3. お茶大生プレゼン
    「ジェンダード・イノベーション入門」履修生
    担当教員:高丸理香(IGI特任准教授)、相川頌子(IGI特任講師)
  4. 交差性デザインカード紹介
    吉原公美(URA)

司会

渡部麻衣子(IGI特任准教授)
参加方法チケットの購入および本イベント参加の予約・抽選については万博ウェブサイト等でご確認ください。ジェンダード・イノベーション研究所ではお問い合わせ対応はいたしません。

開催報告

【振り返り(所見、効果、反省 等)】
8月4日(月)、ウーマンズ パビリオン「WA」スペースにて「知れば知るほど納得!ジェンダード・イノベーション」を開催しました。一般の参加者50名に加え、お茶の水女子大学の学生20名と教職員13名の合計83名が会場に集い、笑いや驚きの声もあがる賑やかな120分となりました。

第1部の講演では、石井クンツ昌子研究所長がジェンダード・イノベーション(以降、GI)の概念、意義と研究・開発の事例を解説しました。GIの視点は、学術的な研究・開発の分野はもちろんのこと、実践的な分野でも注目を集めています。研究所長ご自身の研究者としての視点だけではなく、生活者としての気付きの事例を踏まえつつ、日常生活をGI視点で振り返ることの大切さが語られました。

第2部のパネルディスカッションでは、斎藤悦子副研究所長、伊藤貴之教授、藤山真美子准教授が登壇しました。生活経営学、情報学、都市・建築学、それぞれ専門分野は異なりますが、GI視点で研究に取り組んだことで、研究手法・対象の拡大、モノ・コト・サービスの着想、社会的包摂や社会実装の考慮等の成果が紹介されました。またGIを起点として、多様な専門分野の研究者が集い議論を交わすことで、新たな研究課題が発掘され、共同研究の実施や共同セミナーの開催にもつながっているとのお話がありました。

第3部のプレゼンテーションでは、高丸理香特任准教授の進行のもと、2025年度前期に「ジェンダード・イノベーション入門」を履修した学生が、社会課題に対するGI視点の提案を行いました。具体的には、①ビジネスの場で発言できる女性を増やすために、自己肯定感を上げることで発言量を増やす効果を期待するホメホメシール帳、②女性の空間認識の苦手意識、運転への不安、移動回数が多く、距離が短いという移動特性を考慮したナビアプリ、③冷感効果によって煩わしさを解消し、焼けたいという希望も叶えながら、肌老化や皮膚がんを予防できる男性向け日焼け止め、④夜道の安全は女性が気をつけるのが当然という自己責任論によらない都市設計、⑤スキルの見える化 × 感情の共有 × 達成の喜びにより女性に偏りがちな家事負担を解消する家事アプリ、⑥女性トイレにできる長蛇の列削減に向けて、女性トイレ設置数の増加、個室利用時間の減少が提起されました。

最後に第4部では、本研究所で翻訳を行った「交差性デザインカード」とワークショップの概要について、吉原公美URAより説明がありました。交差性デザインカードは、交差性に配慮し、社会の正義と持続可能性を支援するモノ・コト・サービスを⽣み出すことを⽬的としており、多様性や包摂性の理解を深める教材としても活⽤できるものです。ワークショップには基本的な進め方がありますが、課題に応じてアレンジすることができます。これまでにジェンダード・イノベーション研究所が主催する産学交流会や自治体にてワークショップを実施し、GIの意義が理解できるようになったとの高い評価を得ています。

【会期後の取組み】
ジェンダード・イノベーション研究所では、性差・ジェンダー差および交差性分析に基づく知識の再検討(ジェンダード・イノベーション)を通して、多様な幸せ(Well-being)を実現できる社会の構築に貢献できるよう日々活動を行っています。

2025年度は、教科書「ジェンダード・イノベーション入門」を上梓予定です。同書籍は、2022年度よりお茶の水女子大学・東京大学・東北大学の三大学が連携して取り組んできた「ジェンダード・イノベーション入門」の講義やGIに関する基礎知識を総括した内容となっています。本イベントでは、時間の関係で語りきれなかったさまざまな分野の研究・開発事例、今後の課題や挑戦についてもおさめられていますので、ぜひご覧ください。

その他、GIをより多くの皆さまに知っていただくため、公開イベント、研究所長・副研究所長による講演、高校生向けの出張講義も実施しています。ご興味がありましたらお問い合わせください。

万博への参加費用は、アバナード株式会社からの奨学寄附金を活用させていただきました。ジェンダード・イノベーション研究所事業へのご支援に感謝申し上げます。