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教育IGIセミナー

【学内限定】IGIセミナー「事前学習済み言語モデルBERTの注意機構に着目したジェンダーバイアスの要因分析」(2026年5月20日)

IGIセミナー「事前学習済み言語モデルBERTの注意機構に着目したジェンダーバイアスの要因分析」(2026年度第1回)

インターネット上のコーパスで学習された大規模言語モデル(LLM)には社会的バイアスが含まれている可能性がある。本研究では、LLM構築の基盤技術となった事前学習済みBERTに対して、職業に基づくジェンダーバイアスを対象に、その言語モデルを構築した際のアーキテクチュアとなったTransformerの注意機構を分析した。性別語のみが異なる文を比較し、自己注意の重みと文脈の男女らしさとの関係を可視化した結果、モデルの後半層における注意機構で職業語から性別語への注意(Attention)差とバイアスの相関が確認された。さらに単語間の注意の偏向を矯正する教師パターン行列で注意を誘導しバイアス軽減を試みたところ、既存評価指標の改善は限定的だったが、性別単語である“He”および“She”の出力確率の偏りは緩和された。

ポスターのPDFファイルはこちら

開催概要

日時

2026年5月20日(水曜日) 09時30分~10時30分

開催方法Zoomミーティング
対象お茶の水女子大学の学部生、大学院生、教職員など学内の方(お茶大のメールアドレスをお持ちの方)
講師小林一郎(理学部情報科学科 教授)
                
申込

参加費無料・要事前申込(5月19日(火曜日)12時締切)

お申込みはこちら 
https://forms.gle/eyquoMZNERKXa8877

主催ジェンダード・イノベーション研究所 (IGI)
問合先

E-mail:ocha-igi@cc.ocha.ac.jp

開催報告

2026年5月20日、第一回IGIセミナーが開催され、本学、小林一郎教授が「事前学習済み言語モデル BERT の注意機構に着目したジェンダーバイアスの要因分析」と題して、IGI助成金研究の成果を報告されました。本研究では、大規模言語モデルにおけるジェンダーバイアスの要因分析について包括的な研究成果が報告されました。先生のご研究は、大規模言語モデルが学習データに含まれる社会的バイアスをそのまま学習してしまう、というAI技術の応用にある課題としてよく指摘される問題に対し、アテンション・メカニズムの分析を通じてバイアスの発生メカニズムを解明することで対処法を提示することを目指すものです。ご報告では、BERTモデルのアテンション・メカニズムを分析対象とし、職業単語から性別単語へのアテンション値の差異を通じてバイアスの存在を定量的に検証された結果を紹介されました。この研究では、特に、女性就業率の高い職業において男性語へのアテンションが強く、男性就業率の高い職業において女性語へのアテンションが強いという、直感とは逆の相関関係が確認されています。研究の成果は、リクルーティングの過程における履歴書の評価や面接支援、教育コンテンツの作成、医療診断支援などの領域に応用され得るとのことです。

ご発表後、渡部麻衣子特任准教授より、小林先生のご研究は、ピーター・フェルベークの『技術の道徳化』(法政大学出版局)において議論されている「倫理的な技術」を作る過程と重なる重要なご研究であるとコメントした後、質疑応答が行われました。質疑応答を通して、今回のご発表ではエンコード段階のアテンション・メカニズムが対象でしたが、今後デコード段階も研究対象としていく予定であることや、上記の直感とは異なる結果の理由としては、珍しさや注目度が影響している可能性があること、さらに社会に存在する偏りの結果として生成AIに表れるバイアスを技術的に調整しすぎることで、生成AIの精度が悪化し得る課題等が議論されました。

記録担当:渡部麻衣子(IGI特任准教授)

【参加者数】27名

講師紹介

小林一郎

お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系 教授
2011年 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻 教授 
2015年より 同大学基幹研究院自然科学系 教授(改組のため)現在に至る
2017年より 産業技術総合研究所人工知能研究センター招聘研究員 現在に至る 
2023年より 情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター 特別研究員 現在に至る 
2016年から2018年まで 人工知能学会理事 
2002年から2015年まで 日本機能言語学会理事 


言語知能の計算機的実現を目指し、自然言語処理、人工知能、機能言語学などを融合させた研究に従事. 編著書に「コンピュータが考えるー人工知能とはなにか」(単著、サイエンス社)、「人工知能の基礎」(単著、サイエンス社)、「ことばは生きている—選択体系機能言語学序説」(共著)くろしお出版社)など.