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産学官連携産学交流会

2023年度 第3回 ジェンダード・イノベーション産学交流会

【日時】 2024年1月19日(金曜日)16時00分~18時00分
【会場】 お茶の水女子大学国際交流留学生プラザ2階 多目的ホール
【テーマ】 協定及び共同プロジェクトの紹介
【参加者】 企業17社より38名、学内より11名(計49名)

プログラム

①趣旨説明 
②「三井不動産株式会社×お茶の水女子大学 産学連携の推進に関する連携協力に係る協定の趣旨説明」
    西瑠衣子(三井不動産株式会社 ソリューションパートナー本部 産学連携推進部統括) 
③研究紹介①「ジェンダード・イノベーションからみた女性起業家に関する日本と世界の現状」
    鹿住倫世(専修大学商学部 教授/IGI客員研究員)
    質疑応答 
④「ジェンダード・イノベーション実践としての活動報告」
    西瑠衣子(前掲)
    質疑応答 
⑤研究紹介②「建築学から見たジェンダード視点でのイノベーションへのアプローチ」
   長澤夏子(お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 教授/IGI研究員)
   質疑応答 
⑥総合討論

 

開催報告

1月19日、国際交流留学生プラザ2階多目的ホールにおいて、第3回ジェンダード・イノベーション産学交流会が開催されました。17社の参加機関から38名の参加がありました。今回のプログラムは、2023年2月に三井不動産株式会社がお茶の水女子大学と締結した「産学連携の推進に関する連携協力に係る協定」と、4月に開始された共同研究プロジェクトの紹介でした。
まず、三井不動産株式会社産学連携推進部統括の西瑠衣子氏より、本協定の目的は「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に貢献すること」にあり、共同事業として「女性の起業によるライフスタイルビジネス創造促進」に関する研究を推進するということが説明されました。

次に、本共同研究にジェンダード・イノベーション研究所客員研究員として参加している、専修大学の鹿住倫世教授が「ジェンダード・イノベーションからみた女性起業家に関する日本や世界の現状・学術的進展」と題する研究紹介をされました。国際的には、女性の起業は小規模なローカルコミュニティ中心が多いが、近年では先端技術を活用した事業や高成長企業を経営する女性も増えてきているそうです。日本は起業する人が少なく、かつ男女差も非常に大きいことが紹介されました。また、豊田市の事例を挙げながら「見えない」女性起業家に光を当てるための具体的な施策や、効果的な女性起業家への支援策が紹介されました。

続いて、三井不動産の西瑠衣子氏が、「ジェンダード・イノベーション実践としての活動報告」というタイトルで、女性を意識した創業支援を行っているセンターの紹介や、ららぽーと豊洲で開催した「起業みつかるマーケット:好きな仕事とくらしの体験会」について報告されました。

そして、本共同研究プロジェクトの代表者である長澤夏子教授が「建築学から見たジェンダード視点でのイノベーションへのアプローチ」と題する研究紹介を行いました。海外のジェンダー視点を取り入れた都市計画や事例の紹介に加えて、Gender(ジェンダー)やWoman(ウーマン)という文言が入っている論文の割合を調べたところ、最も多いのは医学分野の41.3%で、最も少ないのは工学分野の0.77%であったことが示されました。開発プロセスおよびビジネスプロセスへのジェンダード・イノベーションの導入方法についてはまだ十分に理解されておらず、日本では、性差に関する課題が見えていても、それを研究や開発の計画に取り込むに至っているものは少ないそうです。ジェンダーの概念は更新され続けているけれども、都市・建物のような持続時間の長い環境要素がそれに追いついていくのは難しいため、既存の環境での調査で出てきた課題に対応するだけでは遅く、仮説段階であっても新しい考え方に基づく環境を提供するアプローチをとることも、イノベーションのためには有効ではないかという提案も述べられました。