Fujitsu-Ochanomizu University Social Collaboration Program for AI Ethics 富士通株式会社・お茶の水女子大学 AI倫理社会連携講座
本社会連携講座では、富士通のAI倫理技術とお茶の水女子大学のジェンダード・イノベーション研究の知見をもとに、世界に先駆けて、AIを活用した定量的かつ客観的なジェンダー平等施策を可能にする共同研究を行うとともに、その遂行を担う広範な領域に精通した人材の育成を進めます。
研究概要
研究内容
本プロジェクトではまず、多様な人材が活躍できる社会の実現に向け、信頼性の高い人材評価AIの開発を行います。具体的には、AIの倫理的リスクに対処するためのAI倫理技術として富士通が独自に研究開発した交差バイアス緩和技術を人材評価AIに適用し、その評価結果の公平性をお茶の水女子大学が長年培ってきたジェンダー課題に関する社会学、経営学的分析手法(インタビューやワークショップ)により検証し、その結果をもとに人材評価AIを改良します。
例えば、女性に対する評価が不公正にならないように漏れなく偏りを是正する一方で、多様性の確保を考慮した場合にマジョリティ側に新たな不公平感が生じる倫理的なリスクの可能性も含めて、人材評価AIが公平感を定量的に分析してその判断プロセスや根拠を客観的に提示することで、人材の多様性を社会的に公正とみなされる範囲内で適切に確保できる技術を開発します。
次に、本共同研究を通じて開発した実現方法や技術をジェンダー格差是正の具体策として政策提言を行い、社会問題解決への貢献を目指します。
また、本連携拠点では、AIに関する技術領域および様々な社会課題に関係する広範なテーマによるセミナーやワークショップを開催し、領域横断的に社会課題に取り組む人材とリーダーの育成に取り組みます。
研究者
役割 | 氏名 | 職位 |
拠点長/社会科学チームリーダー | 斎藤 悦子 | ジェンダード・イノベーション研究所/生活社会科学講座 教授、IGI副研究所長 |
副拠点長/講座担当者:研究戦略検討 | 稲越 宏弥 | 富士通研究所 人工知能研究所 AIイノベーションコアプロジェクト シニアリサーチディレクター/お茶の水女子大学客員准教授 |
プロジェクトマネージャー/社会科学チーム | 柏木 志保 | ジェンダード・イノベーション研究所 社会連携講座准教授 |
講座担当者:技術戦略検討・研究推進 | 新田 泉 | 富士通研究所 人工知能研究所 AIイノベーションコアプロジェクト シニアリサーチマネージャー/お茶の水女子大学客員准教授 |
心理学チームリーダー | 大森 美香 | 基幹研究院人間科学系/心理学科 教授、IGI研究員 |
情報科学チームリーダー | 伊藤 貴之 | 基幹研究院自然科学系/理学部情報科学科 教授、IGI研究員 |
社会科学チーム | 西村 純子 | 基幹研究院人間科学系/生活社会科学講座 教授 |
脇田 彩 | 基幹研究院人間科学系/生活社会科学講座 准教授 | |
相川 頌子 | ジェンダード・イノベーション研究所 特任講師 | |
心理学チーム | 伊藤 大幸 | 基幹研究院人間科学系/心理学科 准教授 |
武藤 世良 | 基幹研究院人間科学系/人間社会科学科 講師 | |
宮川 祥子 | 人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻 博士前期課程 | |
情報科学チーム | 小林 一郎 | 基幹研究院自然科学系/理学部情報学科 教授 |
五十嵐 悠紀 | 基幹研究院人間科学系/理学部情報学科 准教授 | |
石戸谷 由梨 | 理学部情報科学科4年 | |
講座協力者:研究戦略検討 | 内田 大輔 | 富士通研究所 人工知能研究所 AIイノベーションコアプロジェクト シニアプロジェクトディレクター |
講座協力者 | 高橋 秀和 | 富士通研究所AIトラスト研究センター 研究員(2024年3月31日まで) |
中田 恒夫 | 富士通研究所AIトラスト研究センター 特任研究員(2023年12月20日まで) |
支援体制
役割 | 氏名 | 職位 |
担当理事・副学長/拠点設置研究所長 | 石井クンツ 昌子 | 理事・副学長(研究・国際交流・男女共同参画担当)/ジェンダード・イノベーション研究所(IGI)所長 |
監督者 | 太田 裕治 | 副学長(産学連携・イノベーション担当)/ジェンダード・イノベーション研究所(IGI)副研究所長 |
支援 | 園田 俊浩 | 富士通研究所 人工知能研究所 所長 |
支援 | 後藤 正智 | 富士通研究所 データセキュリティ研究所 シニアディレクター |
支援 | 永井 洋樹 | 富士通株式会社テクノロジビジネスマネジメント本部産学連携推進室 室長 |
支援 | 大平 弘太郎 | 富士通株式会社テクノロジビジネスマネジメント本部産学連携推進室 マネージャー |
支援 | 清水 雅芳 | 富士通株式会社テクノロジビジネスマネジメント本部産学連携推進室 エキスパート |
支援/社会科学チーム | 吉原 公美 | ジェンダード・イノベーション研究所(IGI) /リエゾン・URAセンター リサーチアドミニストレーター |
支援 | – | 研究・産学連携課 企画戦略課(男女共同参画担当) ジェンダード・イノベーション研究所(IGI) 事務局 |
講座設置期間
2023年3月1日から2026年3月31日までの3年間
(2025年4月1日より富士通・お茶の水女子大学リサーチラボ社会連携講座)
活動内容
定例活動
【月例会】進捗共有と議論の場
【週例会】社会科学と計算機科学双方の理解と議論の場。AI hiringの動向、機械学習における公平性の紹介。
研究発表
- 2025年5月30日
2025年度人工知能学会全国大会(5月27日~30日 大阪国際会議場)においてオーガナイズドセッションを企画し、研究発表をしました。
[4R2-OS-19] AI技術開発におけるジェンダード・イノベーションと公平性 - 2025年3月7日
石田こなつさんと五十嵐悠紀准教授が第212回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(2025年3月5日~7日 芝浦工業大学 豊洲キャンパス および オンライン)で研究発表をしました。
石田こなつ、五十嵐悠紀「ジェンダーに基づく判断を指摘する面接官補助システムの有用性に関する調査」 - 2025年3月6日
新田泉客員准教授がCollege Women’s Association of Japan(CWAJ)の国際女性デー・トークイベント「ジェンダー平等社会の実現に向けてAIが果たすもの」にパネリストとして登壇しました。 - 2025年1月15日
石田こなつさんと五十嵐悠紀准教授が第211回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(2025年1月14日~15日 沖縄産業支援センター)で研究発表をしました。
石田こなつ、五十嵐悠紀「ジェンダーに基づく判断を指摘する面接官補助AIシステム」 - 2024年11月20日
斎藤悦子拠点長と稲越宏弥副拠点長が、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の 女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室勉強会で講演しました。
【講演タイトル】
斎藤「ジェンダード・イノベーション✕AI倫理技術のご紹介」
稲越「AIの倫理問題と人間中心のイノベーション」 - 2024年11月18日
石田こなつさんと五十嵐悠紀准教授が第210回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(2024年11月18日~19日 淡路夢舞台国際会議場)で研究発表をしました。
石田こなつ、五十嵐悠紀「ジェンダーに基づく判断を指摘する面接官補佐アバターの適切な種類と感情表現の調査」 - 2024年11月10日
上野茉奈さんと小林一郎教授が、2024 Joint 13th International Conference on Soft Computing and Intelligent Systems and 25th International Symposium on Advanced Intelligent Systems (SCIS&ISIS)(11月9日~12日 アクリエひめじ)で研究発表をしました。
Mana Ueno and Ichiro Kobayashi “A Study of Gender Bias in the Effects of Context Using BERT” - 2024年9月6日
日本心理学会第88回大会(9月6日~8日 熊本城ホール)において公開シンポジウムを企画し、研究発表をしました。
SS-004 労働市場におけるジェンダーバイアス - 2024年8月9日
大森美香教授がAcademy of Management年次大会(2024年8月9日~13日 シカゴ)において研究発表をしました。
発表タイトル「AI, Ethics, and Gender Equality in Workplace in Japan」(Paper Development Workshop “Artificial Intelligence and Inequality: An Intersectional Approach”) - 2024年5月29日
2024年度人工知能学会全国大会(5月28日~31日 浜松アクトシティ)においてオーガナイズドセッションを企画し、研究発表をしました。
OS-28 AI技術開発におけるジェンダード・イノベーションと公平性 - 2023年10月20日
2023年度第2回お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション産学交流会において、AI倫理社会連携講座の研究紹介を行いました。 - 2023年10月6日
第1回富士通スモールリサーチラボ全国大会(会場:北海道大学)に参加しました。
人材育成
- 2025年1月30日~2月14日
お茶の水女子大学においてAI倫理社会連携講座セミナー【AI倫理シリーズ】AI倫理の最前線:課題と展望(全4回)を実施し、富士通の研究者が講師を務めました。 - 2024年9月
お茶の水女子大学の学生1名が富士通研究所夏季インターンシップに参加しました。 - 2024年7月8日
稲越宏弥客員准教授が、お茶の水女子大学生活科学概論の授業において「AIの倫理問題と人間中心のイノベーション」についての講義を行い、約80名の学生が受講しました。 - 2024年6月27日
お茶の水女子大学においてAI倫理社会連携講座セミナー「社会に信頼をもたらすイノベーションに向けて」を開催し、富士通の女性技術者が講演しました。 - 2024年4月24日
新田泉客員准教授が、お茶の水女子大学文理融合リベラルアーツの授業において「ジェンダーとAI倫理」についての特別講義を行い、約150名の学生が受講しました。 - 2023年7月3日
森田久美子氏(特定非営利活動法人Waffle)によるゲスト講演会「ITのジェンダーギャップを教育とエンパワーで変える」を開催しました。
その他の活動
- 2024年11月19日
ロンダ・シービンガー教授(スタンフォード大学)と富士通の平松CHROが会談し、ジェンダード・イノベーションと工学系人材の多様化について意見交換をした。 - 2024年3月25日
石井クンツ昌子IGI所長が、第10回富士通グループAI倫理外部委員会において「ジェンダード・イノベーションとは―その事例と課題」について講演しました。
メディア掲載
- 2024年11月13日
第2回富士通スモールリサーチラボ全国大会での発表についてマイナビニュースに掲載されました。
「富士通スモールリサーチラボの第2回全国大会、神戸大などが研究の進捗報告」 - 2024年9月11日
斎藤悦子拠点長のインタビューが日経クロスウーマンに掲載されました。
「男性中心の研究開発に弊害 性差に無関心な社会、風穴空けるには」(特集:「ジェンダード・イノベーション」の扉を開ける」) - 2024年8月23日
斎藤悦子拠点長と新田泉客員准教授の対談が三井不動産のnote「&ジェンダード・イノベーション」に掲載されました。
「AIを活用してジェンダー課題の解決を目指す。「富士通・お茶の水女子大学 AI倫理社会連携講座」 - 2024年2月24日
AI倫理社会連携講座の研究についての記事が東京新聞 明日への扉 「AIならフェアな人事ができる? ジェンダーバイアス潜む「ブラックボックス」に挑む」に掲載されました。 - 2023年12月13日
プロジェクトメンバー新田泉のインタビューが朝日新聞Aging Gracefullyに掲載されました。 - 2023年11月30日
「AI倫理の産学連携」についてのインタビュー記事が、富士通の社外向けサイト「フジトラニュース」 に掲載されました。
「AI倫理の産学連携」でジェンダーギャップや文理の違いを超える~お茶の水女子大学との実践~ - 2023年11月24日
「第1回富士通スモールリサーチラボ全国大会」(10月6日)についての記事が、富士通の社外向けサイト「フジトラニュース」に掲載されました。
これからのテクノロジーを、大学ともっと一緒に~第1回富士通スモールリサーチラボ全国大会の実施 – フジトラニュース : 富士通 (fujitsu.com) - 2023年10月1日
AI倫理社会連携講座の取り組みについての記事が、 「日経ヴェリタス」巻頭特集「さらば男性標準 市場拓く ジェンダード・イノベーション」に掲載されました。 - 2023年5月19日
AI倫理社会連携講座についてのインタビュー記事が、富士通のコーポレートブログに掲載されました。
“Gender equality and AI: Ochanomizu Univ., Fujitsu researchers collaborate to overcome social gap” - 2023年3月17日
AI倫理社会連携講座についてのプレスリリースが行われました。
「富士通とお茶の水女子大学がAI倫理社会連携講座を設置-AI倫理技術とジェンダード・イノベーションで社会課題を解決-」
報告書
PDFファイルの閲覧には、Adobe Acrobat Reader DC(新しいウインドウが開きます)が必要です。